和歌山市出身の日本画家・清水由朗(よしろう)さん(53)=東京都=の作品「原生」が、日本美術院による日本画の公募展「再興第99回院展」の最高賞である内閣総理大臣賞に輝いた。日本画の枠にとらわれず、自由な発想でその可能性を追求する清水さんは「支えていただいた方々、ご指導、激励いただいた皆さまに感謝の思いでいっぱいです」と話している。
受賞作「原生」(1・7㍍×3・6㍍)は、人目につかない原野でたわわに実を付けるブドウを描いており、静かな筆致の中にも強さを秘めた詩情あふれる作品。題名には「人の手が入らない、自然のまま」という意味を込め「背伸びせず、自分の短所も含めて正直に表現するしかない」との思いで表現したという。
日本美術院は美術家の岡倉天心が中心となり、明治31年に創設した日本画の研究団体。大正3年に横山大観らが再興し、近現代を代表する日本画家を多数輩出している。
清水さんは県立向陽高校を卒業後、東京芸術大学美術学部へ進み、卒業後に院展初入選。平山郁夫、田渕俊夫らに師事し、同大学院美術研究科博士後期課程満期退学。日本美術院「大観賞」、再興第96回院展「文部科学大臣賞」などを受賞し、平成24年度県文化奨励賞受賞。現在は日本美術院同人、創価大学教育学部教授、東京富士美術館副館長などを務めている。
院展は今月2日の東京都美術館での開幕を皮切りに、京都(19日~10月5日)や大阪(10月8日~14日)など全国を巡回する。
清水さんは「今後も自然の心構えを軸に、制作に精進してまいりたいと思います。少しでも皆さまのお役に立てるよう、明るく分かりやすい絵を描いていければ」と話している。