超党派で再犯防止を進める議員連盟で、「シームレスに支援を行い再犯を防止する体制の構築に向けて」との提言をまとめ、谷垣法務大臣をはじめ関係閣僚に申し入れを行いました。
わが国では犯罪件数の約6割が再犯であり、再犯防止は安心・安全な生活のために政治が取り組むべき喫緊の課題です。
このような中、法務委員長として昨夏に行った衆議院法務委員会の海外視察では、テーマの一つに再犯防止を掲げました。派遣議員一同、米国の取り組みに多くの示唆を受け、日本の現状を改善すべく本年2月、多数の議員の参加を得て「超党派で再犯防止を進める議員連盟」を設立し、呼びかけ人の一人であった私が幹事長に就任しました。
以来、杉良太郎法務省特別矯正監をはじめ、多くの関係の方々から話を伺い、議論を重ねた結果、自らの罪と向き合い反省させる指導や処遇を前提に、この問題の解決には出所後の就労と住居が必要であり、矯正施設内から社会復帰に至るまでのシームレスな支援が必要との結論に達した次第です。以下、要旨を紹介します。
(Ⅰ)矯正施設内で取り組むべき課題
①職業訓練体制の整備とともに、実効ある就労支援のため政府関係機関の協力体制を構築すること
②対人能力の欠如がトラブルに巻き込まれる可能性を高めるため「社会生活に順応できるスキル」を高める教育体制を整備すること
③薬物依存者や暴力団関係者、性犯罪者などの専門的処遇プログラムの効果を検証し改善を図ること
④「温かい環境で育っていない」との協力雇用主の指摘があることから、少年矯正施設では矯正教育と共にメンタルヘルスを実施すること
(Ⅱ)出所者を社会全体で支える枠組みの構築
①公共職業安定所との連携、協力雇用主の確保など就労支援体制の整備や出所者の資格制限条項の見直しを行うこと
②公的機関や民間企業等への就労推進策を強化するとともに、協力雇用主に対する優遇制度をはじめ各種支援を行うこと
③出所時に住居を確保できる者は半数にすぎず、更生保護施設など受け入れ機能の強化を図ること
④受け入れ先として、企業、NPO等のソーシャルファームなどの取り組みを促進すること
⑤高齢者や障害者等自立困難な場合は、円滑に医療や福祉的支援を受けられるよう関係機関の協力体制を構築すること
(Ⅲ)再犯防止を進めるための人的・物的基盤整備
①刑務所の医師不足は深刻であり、待遇改善など抜本的な対策を早急に講じること。また、高い離職率や厳しい勤務環境などを考慮し刑務官の増員や待遇改善を図ること
②施設の約半数が耐震基準を満たさず、また矯正施設併設の職員住宅も著しく老朽化し危険な状態にあり、早急に改善すること
③保護司制度の基盤強化と民間協力者への負担軽減を図ること
④関係機関の再犯防止に関する情報を共有・管理する仕組みを構築すること
おおむね以上のような提言を行いました。
一人でも多くの人々を社会の善良な一員として更生させていくことは、国家としての重要な責務であり、世界一安全な国・日本を築くために不可欠だと思います。提言がすみやかに実施されるよう今後もがんばります。
なお、国家戦略本部で昨年来24回にわたり専門家の方々から伺った貴重な話を「2030年の日本」検討・対策PTの中間報告としてまとめ、安倍総理に答申しました。自民党HPからご覧ください。