ことし2月に太地町立くじらの博物館で反捕鯨関係者として窓口で入館を拒否されたことは不当な人種差別であり、心が傷ついたなどとしてオーストラリア在住のサラ・ルーカスさん(29)が同町に対して慰謝料約670万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、和歌山地裁(橋本眞一裁判長)であり、ルーカスさんが出廷し、提訴の経緯などを裁判官らに説明した。
法廷でルーカスさんは、通訳を通じて英語で意見陳述。自身が、反イルカ漁の思想を持つ団体「オーストラリア・フォー・ドルフィンズ」の最高責任者であることを述べた上で「この団体は過激派の団体ではなく、平和的に動物を保護しようと活動している」と主張。また、「窓口で『反捕鯨者』は入館拒否と英語で書いた紙を見せられた。私たちは『反捕鯨』であるが、外見をちらっと見ただけで、もめ事を起こすと決めつけられたことは許せない」と同館の対応を批判した。
町側は「4日前にも、ルーカスさんらが館内で勝手に取材していたことから、他人の迷惑になる恐れがある」などとして請求棄却を求め、全面的に争う姿勢をみせている。
今後は争点整理のため、非公開の弁論準備手続きに入り、主張の争いが続けられる。