紀美野町松瀬の遊休農地で27日、ヤギを放牧して雑草を食べさせ、農地の再生を図る県の「放牧による草刈りレスキューモデル事業―農村の草刈り応援隊」が始まった。
県内の農村で高齢化、農家の担い手不足による遊休農地や維持管理不足のため池が増え、農作物への病害虫の発生、イノシシの生息域の拡大、景観の悪化が問題になる中、課題解決の新たな手法として牛やヤギといった草食家畜の放牧をモデル的に実施。地元のまちづくり団体「紀美野いきいき講中」(尾初瀬鈴子代表)がヤギ2頭を2カ月間借り受け、遊休農地となっている水田2カ所合わせて約40㌃に放牧し、再生と適正な維持管理を進める。
この日、すさみ町の県畜産試験場から8歳で雄の太郎と雌の花子がトラックで到着。地域住民や町議ら約40人が見守る中、放たれると、早速ムシャムシャ草を食べていた。
住民らは「すごい食欲やな~」「草刈り機いらんな」と笑顔で見守り、尾初瀬代表(69)は「遊休農地の問題は待ったなし。ヤギさんにいっぱい食べてもらって、少しでも解決できれば」と期待を込めていた。