最も身近な国立公園として指定80周年を迎える「瀬戸内海国立公園」を取り上げている。同国立公園は和歌山県を東端に瀬戸内海を囲む1府10県がその範囲であるが、他府県では指定80周年をどのように迎えているか。
岡山県倉敷市。白壁が美しい倉敷駅周辺の美観地区から南へ約15㌔、瀬戸大橋の本州側の起点に位置する児島地区では、まちの至る所に指定80周年を祝う旗が掲げられお祝いムード一色。
地区の南端には瀬戸大橋と島々を望む風光明媚(めいび)な観光名所「鷲羽山(わしゅうざん)」がある。巨大な橋の人工美と点在する島々の自然美の調和が観光客を魅了。一帯は第二種特別地域に指定され、展望台からの眺望を確保するための樹木の手入れなど景観の保全が積極的に行われている。
倉敷市では3月16日に鷲羽山第二展望台で記念式典を開催。国立公園ウオーキングや島巡りツアー、写真展、絵画展などを定期的に実施している。対岸の香川県高松市では7月13日に記念式典を開催。夏の観光シーズンにあわせ、沿岸の8地区を巡るラリーイベントの実施など、県外からの誘客にも積極的だ。
紀淡海峡の向こう側、岡山や香川では瀬戸内海の魅力を見つめる催しがたくさん。共通の地域資源を持つ他県の取り組みにふれ、瀬戸内海という共通項にプラスで存在する地域ならではの魅力や付加価値が、地域色として内外に知られることで、瀬戸内海を囲む広いエリアが一体となり、魅力の向上や横の連携強化につながると感じる。友ヶ島地区や和歌浦地区には他の地域に引けを取らない魅力がたくさん。岡山や香川と肩を並べる景勝地としてPRしたい。(次田尚弘/岡山)