東日本大震災で被災し、仮設住宅で暮らす人たちへ安心で安全なタケノコを届けたい――。京都のボランティア団体が、ことしも和歌山市の山東地区を訪れ、協力者の竹林でタケノコ約90㌔を収穫。「お互いさま、お陰さまの気持ちが広がれば」との思いで汗を流した。
訪れたのは、被災地支援を続ける「きょうキューブ(京・共・協)」のメンバー10人。活動は昨年に続き2回目。
きっかけは、同団体の小西隨晟(ずいせい)理事長(41)が、震災後に親交ができた福島県相馬市の仮設住宅に住む家族から「自分たちの住む所にはタケノコが生えているが、土の中は特に放射線量が強くて食べられない」という話を聞いたこと。
以前市内に住んでいたことのある小西理事長が市農林水産課に相談。協力者を紹介してもらい実現した。
この日、メンバーは四季の郷公園(同市明王寺)に隣接する中村弘子さん(76)所有の竹林で作業。くわを使い、地面からわずかに頭を出したタケノコを傷付けないよう丁寧に掘り起こした。
中村さんは「被災地のために何かしたいと思いながらもできずにいたので、山東のタケノコが少しでも力になればうれしい。ぐんぐん勢いよく伸びる若竹のように、被災地が一日でも早く元の姿に復興するよう願っています」と話し、これまで50回以上被災地に足を運んでいる小西理事長は「おいしいタケノコにみんなの気持ちを乗せて届けたい。心の成長や学びとともに、支援活動を続けていければ」と話していた。