日本GP第2戦2014日本選抜陸上和歌山大会が26、27の両日、紀三井寺公園陸上競技場で開かれ、男子十種競技で、日本記録保持者の右代啓祐選手(国士舘大出身、スズキ浜松AC)が、自らの記録を3年ぶりに更新した。前半の5種目で4159点と好調な滑り出しを見せた右代選手は、改修後の同競技場初のビッグタイトルへ期待が高まる中、後半も着実に得点を伸ばし、最終種目となった千五百㍍では力強いラストスパートを発揮。これまでの記録を70点上回る8143点を獲得、待望の新記録達成で4連覇に花を添えた。
鉄人レースといわれる十種競技は、百㍍、四百㍍、千五百㍍、百十㍍ハードルのトラック競技に走り幅跳び、走り高跳び、棒高跳びの跳躍競技と円盤投げ、やり投げの投てき競技を加えた混成競技で、初日の百㍍と四百㍍で自己新を記録した右代選手は、2日目も9種目目となるやり投げまで、全て800点を超え、新記録更新へ注目が集まった。
最終種目となった千五百㍍は、4分57秒16以内なら新記録という緊迫した雰囲気に包まれスタート。右代選手を猛追する2位のチームメート中村明彦選手がトップを快走。右代選手は、序盤から抑え気味のレースを展開した。刻一刻タイムが刻まれる最後の1週(四百㍍)で、スパートした右代選手は、トラックを囲んだ子どもたちからの大声援を受け4分45秒53でゴール。646点を加え、8143点で日本新記録を達成した。同記録は今季の世界ランキング4位で、来年の北京世界陸上でメダル獲得へ夢が広がる好記録となった。
厳しかったレースにもかかわらず、応援した子どもたちと、笑顔でハイタッチを交わした右代選手に、ともに戦った選手たちも祝福に駆け付け、競技場の歴史に名前を刻む快挙に、和歌山陸上競技協会の南正晃専務から記録賞が贈られた。
表彰式の後、右代選手は「応援ありがとう、皆さんのおかげで3年間の悔しい思いが、自己新という形で達成でき、幸せな気持ちだ。今はめちゃくちゃ精神がすり切れ、本当に疲れたというのが実感だが、大きなご褒美をもらった。まだまだこの記録では満足していないが、世界で戦えるようこれからも頑張る。和歌山へ来たときはよろしく」とさらなる意欲を示した。