和歌山市布施屋の稲谷鍼灸整骨院の院長・稲谷日斗志さん(44)は、「和歌山のスポーツの発展に、微力ながら力になれれば」と、平成18年に開業。柔道整復師と鍼灸師の資格を持つ、妻の裕子さん(42)と2人で営んでいる。
大学時代に指導を受けたメディカルコンディショニングコーディネーターの清田源さん(48)の紹介で、昨年8月からプロバスケットボールチーム「和歌山トライアンズ」の選手のコンディショニングにも携わってきた。練習や試合会場でのケアだけでなく、オフの日には選手が同院へ治療に通うなど、選手からの信頼も厚い。
稲谷さんは、高校でラグビー、大学・社会人でアメリカンフットボールに取り組んだ。大学では腰痛に悩まされ、満足のいくプレーができず、社会人リーグでは腰や膝の怪我で選手生命を断たれた。「今度は選手をサポートしよう」と新たに3年間勉強し直し、再びスポーツの現場に出た。
最初の職場はパナソニックのアメフトチームのトレーナーだったが、選手の力になれなかったことを悔い、チームを離れた。「いつかパナの選手に恩を返したい」思いで、その後も社会人のラグビーチームや大阪の病院に勤務し、プロ選手の治療やトレーニングに携わり経験を積んだ。
和歌山はパナソニックグループの創始者・松下幸之助さんの生誕地。そしてパナソニックのバスケチームを引き継いだ和歌山トライアンズとの出会い――。縁を感じずにはいられなかった。
5年前から開智高校女子バレー部のトレーナーとしても活動。ことし1月には東京で、春の高校バレーに出場した開智高校と、天皇杯に出場した和歌山トライアンズに同行でき、「最高の幸せ。8年かかって、やっと和歌山でやりたいことが形になってきた。和歌山から日本一のチームが生まれることが楽しみ」と胸を弾ませる。
同院には、和歌山を巣立ったプロ野球選手が顔を出してくれることもあるとか。「治療に関わった選手が試合で活躍し、結果が形に出ることが一番うれしい」とやりがいを語る。
「けがで困ったらいつでも来てください!」
【稲谷鍼灸整骨院】和歌山市布施屋933―7、℡073・477・5930