「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が昨年末の臨時国会で成立しました。これは消防団強化に関する現場の要請を受け、自民党消防議連でプロジェクトチームを立ち上げ、私が座長を務めて議論を重ねて法案を作成したものです。その上で各党に呼びかけ超党派の合意を得て、議員立法の法案として無事成立させることができました。
この背景には、阪神淡路大震災の教訓をもとに緊急消防援助隊が創設され、東日本大震災で大活躍したものの、消防団員には254名もの未曾有の犠牲が出たことがあります。津波からの早期避難など地域防災体制が課題として再認識されるとともに、全国的に少子高齢化や地域外に通勤する住民の増加などにより、防災活動の担い手が十分に確保できていないことなども課題となりました。さらに、首都直下地震や南海地震など大地震が予測され、頻発するゲリラ豪雨や台風、豪雪などによる被害も大きく懸念されています。こうしたことから、地域防災力の充実強化が喫緊の課題として浮かび上がってきました。
ひとたび大規模で広範囲の災害が起これば、消防も警察も自衛隊も、同時にすべての地域に対処することはできません。そのとき初動を担うのは地域におられる方々であり、一定の訓練を受けた消防団員が中心となります。さらに、自主防災組織の方々や女性、中学生、高校生も力を合わせて対応しなければならないのが現実です
そこで住民自身の積極的な参加の下、地域で防災の実際を担う消防団が抱えるさまざまな課題の解決に取り組み、消防団を中核として地域の防災体制の確立・強化を図り、地域住民の安心・安全につなげようというのが、この法律の狙いです。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
①市町村は地域防災力の充実強化に関する計画を策定し、具体的な事業に関する計画を定める
②全ての市町村に置かれ地域で災害に即応できる、地域防災力の中核として欠かせない消防団の強化のため、国・地方自治体は必要な措置を講じる
③消防団員の処遇・装備の改善、さらに教育訓練の改善および標準化など消防団活動の強化を行う
④自主防災組織強化のための教育訓練では、消防団が指導的な役割を担うよう市町村が必要な措置を講じる
⑤学校での防災教育・訓練への支援、そして公務員兼業の特例や企業、学校などの協力、国や自治体による消防団への加入促進など
以上のような内容で、日本消防協会からも、このような法律は初めてであり画期的との評価をいただきました。また、関係者の意気込みは大変なもので、すでに26年度予算に反映されたものもあり、最新の消防白書にも取り上げられています。
先般の国会では国土強靱化基本法も成立しました。これらをてことして防災・減災対策ならびに地域防災力の充実強化に努めるとともに、皆様一人一人の防災意識を高め、大災害への備えを万全のものとしていかねばなりません。