ベストセラー『五体不満足』で知られる乙武洋匡さん(37)の講演会が23日、和歌山市のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)であった。乙武さんは、自身の体験を振り返り「親は子に愛情を伝え、自分は愛されている、掛け替えのない存在だと認める『自己肯定感』を育むことが大切」とメッセージを送った。
公益社団法人県労働者福祉協議会が主催し、約700人が来場。
乙武さんは、4年前までの東京都内で3年間にわたり小学校の教員を務めた経験を基に講演した。子どもたちに自信を持たせるようにしたことで、成長や変化が見られたエピソードを紹介。
子どもの良い部分を親に知ってもらうため、褒める電話を毎日のようにかけるようにしたことを話した。
「それは何より、僕自身が自己肯定感に支えられてきた人間だから」ときっぱり。乙武さんの母親が、生まれてすぐ、両手足がないわが子の姿を見るなり「かわいい」と言ったエピソードを挙げ「もしあの時、母親が発した言葉が違えば、僕の人生は違うものになっていたはず」と話した。
「愛情いっぱいに育ててくれたおかげで、僕は僕でいいんだ、と思えるようになった。それぞれが等しく大事な存在。まずは自分を認め、目の前にいる人を尊重してもらえれば、これほど素晴らしいことはない」と伝えた。