県文化財センターは、国道26号第二阪和国道建設に伴い、平成24年から行っている平井遺跡(和歌山市平井)の発掘調査で、古墳時代(6世紀前後)の埴輪(はにわ)を焼いた「埴輪窯」2基を発見したと発表した。埴輪窯の調査例は県内では初。同センターでは「この窯で焼かれた埴輪がどこの古墳へ運ばれたかを調査することで、勢力の範囲が分かり、重要な発見といえる」としている。
今回の発掘調査は、和泉山脈の丘陵すそ部分の1万平方㍍で実施。
埴輪窯は、トンネル状でまきをたいて焼き上げる。見つかった2基は、全長約7㍍、幅1・2㍍~3㍍のものと、全長約10㍍、幅1・1㍍から1・5㍍のもの。このうち、大きい窯では5回以上繰り返し使われたことが確認でき、円筒埴輪であれば300から400個を焼いたと見られている。
埴輪窯は大阪府高槻市や奈良市などで見つかっている。密集したものがほとんどだが、今回の2基は25㍍離れて検出された。
県内ではこれまで、同市森小手穂で埴輪窯と見られる跡が見つかっているが、詳しい調査はされず全容は分かっていなかった。
窯で焼かれた埴輪は、近くに位置する国史跡大谷古墳や平井1号墳に運ばれ、並べられた可能性がある。周辺からは円筒埴輪や家の形をした埴輪なども出土。矢を収納する武具の胡籙(ろく)形埴輪の破片が見つかるなど、岩橋千塚古墳群の出土物との類似点も見られた。
そのため研究者の間では、これまで紀ノ川を挟み、南岸の岩橋千塚古墳群を中心とした勢力と、北岸の古墳群とに分かれた勢力が存在すると考えられていたが、その構図を見直す必要も出てきたという。
23日午後1時半から、現地説明会が開かれる。場所は平井206の1。駐車場がないため、公共交通機関の利用を呼び掛けている。問い合わせは発掘調査事務所(℡073・453・0835)。