和歌山市は18日、平成26年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比1・0%減の1455億327万円で過去最大だった25年度に次ぐ規模となり、特別会計と公営企業会計を含めた総額は0・7%減の2893億4305万円。景気回復により市税収入が微増する一方、地方交付税の大幅減などで財政状況は依然として厳しい。大橋建一市長が8月で退任するため一部事業を先送りし、新規事業数は前年度の31に対し17にとどまっている。25日開会の2月定例市議会に提案される。
市財政局は、大橋市長の残り任期の総仕上げをし、次期市長に一定のフリーハンドを残しつつ、より良い形での引き継ぎを目指した「未来への橋渡し予算」と位置付けている。
総仕上げについては、国体、防災、教育、都市基盤整備の4つを柱とし、地域の避難計画の策定支援、中学校の3年生教室などへのエアコン設置、市道中平井線などの幹線道路の整備などを進める。
大橋市長の年度途中の退任の影響については、次期市長に政策判断をゆだねるために先送りした事業が70あり、一般財源ベースで約8億円に上る。中心市街地の再生は検討予算を計上し、西保健センターの老朽化対策は基本計画の計上は行うなど、スムーズな引き継ぎに備えているとしている。
【一般会計歳入】
市税収入は3億7775万円(0・7%)増の572億3252万円。うち個人市民税は0・6%増の178億8351万円、法人市民税は景気回復などの影響で8・2%増の50億7776万円を見込んでいる。
地方交付税と、償還が同税で措置される臨時財政対策債の合計は6・8%減の182億9800万円となっている。
借金に当たる市債発行額は79億4810万円(30・3%)減の182億5910万円。大幅減の要因は、前年度に土地開発公社の解散経費として発行した第三セクター等改革推進債約54億円がなくなったことなど。一方で建設事業などに伴う発行増は約14億円に上る。市債残高は26年度末見込みで1667億8942万円、市民一人当たり約44万円となる。
収支不足は貯金に当たる財政調整基金を58億7000万円取り崩して対応。同基金の26年度末残高見込みは20億6000万円となる。
【一般会計歳出】
義務的経費は1・8%減の830億3165万円。うち人件費は、国体を控え職員3000人体制を維持することや退職金の削減などで0・7%微増の261億1764万円。扶助費は、障害者総合支援費や私立保育所運営交付金などの増加により2・4%増の412億1210万円。市債の返済などに充てる公債費は、借り換えに伴う満期一括元金償還金の減で14・5%減の157億189万円となっている。
投資的経費は10億8243万円(6・9%)増の167億2008万円。内容は、青岸エネルギーセンターの施設改良に20億円、高機能消防指令システムの構築に13億7000万円の増額などとなっている一方、3月に完成予定のつつじが丘テニスコートや汚泥再生処理センターの整備費などが減額となっている。
主な新年度事業
【いのちを守る】防災士資格取得の支援(55万円)▽モデル地域での避難計画の策定支援(604万円)▽老朽危険空き家等の除却助成(651万円)▽西保健センターの建て替え計画検討(1296万円)
【人と文化を育てる】17中学校の3年生教室等へのエアコン設置(5億4464万円)▽芦原・大新小学校プールを浄水機能型に改築(3億5542万円)▽特別支援教育支援員等の増員(7411万円)▽有吉佐和子没後30年特別展事業(354万円)
【ふるさと力を高める】中平井線の整備(19億1997万円)▽汐見団地建て替え設計(5858万円)▽和歌山城観光の施設充実=市役所南別館の整備など(3億4253万円)▽貴志川線の存続支援策や機能向上の検討(534万円)
【行財政改革】市未来のまちづくり基金設置=太陽光発電所設置運営事業の収入を活用