江戸時代、世界で初めて全身麻酔による乳がん摘出手術を成功させた華岡青洲考案の手術道具の複製に挑戦していた県立和歌山工業高校産業デザイン科の3年生7人が、複製を完成させた。3日には紀の川市西野山の青洲の里を訪れ、複製品を納品。展示室に飾られた。
複製、納品したのは手術用の「コロンメス」。実物は青洲の里で展示しているが、鉄製品のため劣化が懸念されることから、市教育委員会が同科に複製作成を依頼した。
同科は課題研究の一環として作成に取り組み、型取りや切断、研磨などで仕上げていった。0・5㍉の溝を削ったり、より実物に近づけようと、バーナーや酸でさびを出すなどし、昨年末に完成させた。
この日は生徒6人が青洲の里を訪問し、中村愼司市長らに複製作業の経緯などを説明。中村市長は「初めての経験で難しかったと思いますが、大切に保管しながら、皆さんに見てもらえるようにしたい」と感謝を述べた。
複製品は先月開かれた「県工業高等学校研究発表大会の研究部門」で、最優秀賞を受賞し、仕上がり具合も実物そっくり。前田恭輔君(17)は「形を整えるのが難しかったけど、社会貢献に役立ててうれしい。いい経験ができた」と話していた。