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商流担保に融資「ABL」 中小企業の円滑な資金調達へ

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全国の金融機関で、不動産担保や個人保証が主体の融資に代わり、商品の在庫や売掛金、機械設備など流動性の高い資産を担保とする融資「ABL(アセット・ベースト・レンディング)」の活用を促す動きが広がっている。中小企業の円滑な資金調達が期待されるものの、多種にわたる動産担保の評価や管理などノウハウの不足から活用が進んでおらず、県内企業においても実績が少ないのが現状だ。現場を取材した。

商工組合中央金庫和歌山支店は、住宅用建材プレカット加工業の㈱朝間商会(本社=和歌山市築港、朝間喜久雄代表取締役社長)と「木材加工技術の商流」を担保にABL契約を結び、1億円の融資枠を設定した。

同社は、在庫や帳簿などの社内管理を徹底している。毎日の終業前にその日の在庫などを調べ、月末の午後6時には、月次決算がそろうといった安定した事業サイクルを確立。同社の工場や保管倉庫には、今回の融資の対象となった1カ月100棟分の木材がひと目で確認できるように整然と積まれており、顧客のニーズに対応するため、国内外合わせて約15種類の木材が常時保管されている。

同社は昭和15年に創立した。時代の流れとともに国内の製材業が低迷し、最盛期に170社あった製材業が減少する中、同社は平成9年に製材業からプレカット加工業に転業。建築事務所や住宅メーカーから送られてきた建築図面を、コンピューターソフト「CAD」を使って木材の大きさや長さを指定し、梁(はり)組みをデータ化。工場にあるコンピューターに入力すると、機械が自動で必要な大きさや長さに切り分け、組み合わせるだけで梁組みが完成する状態にまで加工する。

「早く、正確に」を掲げ、24時間体制で機械を稼働。手作業で約2週間かかる作業を約6時間で仕上げ、一日4棟分を加工しており、最速で翌日には納品。顧客からの信頼を得ている。

朝間社長は「次の設備投資をするために体力を付けなければならない。その一環としてABLを願った。今は必要とされている仕事を守る。ABLは広まっていないが、若い世代が新しいことに果敢に挑戦する時、必要とされる資金調達手段となってくるだろう」と話していた。
同支店は今後もABLに積極的に取り組む考えを示しており、「多様化する取引先のニーズに応え、地域経済の発展に貢献していきたい」としている。


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