26日に総合開会式を迎える紀の国わかやま国体を目前に、「総体重800㌔」という異色のダンスユニット「ぽっちゃりきいちゃんズ☆」が存在感を増している。ぽっちゃりとした体型とはうらはらに、驚くほどキレのよいダンスが持ち味。メンバーは「『太っていてもこんなに躍動できるんだ』と、皆さんのパワーにつながればうれしい。笑顔と元気、笑いで国体を盛り上げたい」と心を一つにしている。
同ユニットは昨年12月に田辺市で開かれた「きいちゃんダンスコンテスト」で特別賞を受賞。国体の開会式ではダンスパフォーマンスに参加する。
隊長を務めるのは紀の川市貴志川町の柳橋さやかさん(36)。柳橋さんは神奈川県出身で、東京でミュージカルなど舞台を中心に活躍。昨年の春、縁あって友人のふるさとである同町へ移り住んだ。大きなイベントの国体に向け「誰も思い付かないような楽しいことがしたい。ぽっちゃりを集めてガツガツ踊ろう!」と思い付いたとのこと。
知人を介して集まった「自称きいちゃん体型」の30代から60代の男女11人で結成。職業は美容師や看護師、エステティシャンなどさまざま。3人を除きダンス初挑戦というメンバーでのスタートだった。
柳橋さんのダンス指導のもと、週に3回の猛特訓。そのかいあって、コンテスト当日は、見た目の予想を裏切る軽快な動きと飛び抜けた元気の良さで周囲を沸かせ、審査員や観客の心をつかんだという。
「ぽっちゃり」を前面に押し出している以上、チーム内には「痩せたら卒業」という暗黙のルールがあるとか。中には、これを機に本気でダイエットに走ろうとするメンバーもいたが、隊長が目を光らせ「絶妙な安定感で、いい感じにぽっちゃりをキープできている」と柳橋さん。
メンバーで唯一の男性、和歌山市の介護福祉士・濵口友樹さん(44)は「見た目とのギャップ、意外性のあるダンスで笑いを取りたい」と意気込み、同市の介護福祉士・岩谷純子さん(64)は「振りを覚えるのが大変でしたが、少しずつ身に付き、気分も高まってきました。体重は全く減らず、増えたほどですが」とにっこり。
練習はいつも和やかで笑い声が絶えず、柳橋さんは「和歌山に来て間もない私を信頼してくれて、一緒に頑張ってきた大切な仲間です」と感謝。メンバーの絆も深まり「太っていても、経験がなくても、年齢も関係ありません。お肉を躍らせ、笑いと感動のダンスを届けます!」と国体を心待ちにしている。
メンバーは22日にJR和歌山駅下のわかちか広場で開かれる国体関連イベントにも参加する。